shitokaの日記

旅したい。

韓国美術史メモ:はじめに

少し前に大学で韓国美術について学ぶ機会がありました。ノートとしてこちらに参考文献の内容の概略をまとめようと思います。

全部で10回ぐらいに分けて投稿する予定です。

まずは、朝鮮半島の各時代の概略を以下にまとめます。

 

古朝鮮時代(古代)

神話の時代を含むため、正確なことがわかっていない部分も多い。葬墓文化を中心とする。モンゴルや中国の東北地方などと関りが深かったと考えられており、中国系の文化とは異なる文化を持つ。

 

三国時代(古代)

古朝鮮が滅んだ後の動乱期に数多くの国が生まれ滅び、やがて高句麗百済新羅の三国が残った。三国それぞれの特色をもつ墳墓美術と仏教美術がうまれた。この時代に百済から日本に仏教が伝来した。約700年続いた。

 

③統一新羅時代(古代)

三国統一を成し遂げた新羅による時代。唐の文化(初唐~盛唐)を積極的に取り入れ国家を形成した。仏教美術禅宗美術が有名。独自の発展を遂げ、韓国古典美術が完成した時代である。

 

④高麗時代(中世)

新羅時代後期の動乱期、後三国時代を統一した高麗による王朝文化の時代。

度々戦禍に見舞われており、高麗前期の作品はほとんど現存していない。日本には仏画の優品が数多く伝来している。華やかな印象を受ける貴族趣味の傾向がある。

高麗青磁と高麗仏画が有名な時代。

 

⑤朝鮮王朝時代(中世~近世)

本の出版年代によっては「李氏朝鮮」と記載されている場合も多い。日韓併合(1910)までの518年間続く。士大夫と呼ばれた官僚たちが文化の中心であった。儒教が社会の中心になり、儒教美術が発展した。堅実かつ洗練した印象を受ける。

 

⑥韓国近現代美術(近代~現代)

朝鮮王朝時代には、シカゴ万博(1893年)やパリ万博(1900年)に出展している。1910年に日本に併合され、王朝は滅び、第二次世界大戦終結(1945年)まで日本の植民地になった。1911年に京城書画美術院が開設され、近代美術教育が始まる。植民地時代の朝鮮半島では、日韓双方の画家や学生の交流も盛んにおこなわれていた(支配被支配の力関係には注視したい)。

終戦以降も、朝鮮戦争による南北分断や軍事政権に対する民主化運動など、政治的なものや社会のありようと近現代美術史は深く関わっている。

現代においては、金守子(キム・スジャ)のような女性作家たちや、李禹煥(リ・ウファン)やナムジュン・パイクなど、国際的に活躍する作家たちも多い。

 

 

韓国・朝鮮は、日本と似た文化はあるけれど、それぞれの時代にそれぞれの個性が際立ちます。これから複数回に分けて各時代の美術の特徴をまとめていこうと思います。

 

実は、『もの派』の李禹煥さんを知ったことから、韓国・朝鮮美術への興味と関心が高まりました。古代から時代を追って投稿していく予定ですが、現代美術まで投稿し続けられるように頑張ります。

 

今週は先週までと比較すると暖かくなるようですが、朝晩はまだまだ冷え込みます。

風邪ひかないように気を付けて、今週末まで頑張りましょう。

 

それではまた。

 

 

 

東京都にある根津美術館で「朝鮮陶磁」の企画展が開催されているみたいです。行けそうだったら行ってみようかな。

www.nezu-muse.or.jp

 

〈参考文献〉

・金子典正編『芸術教養シリーズ4 アジアの芸術史 造形篇Ⅱ』藝術学舎、2013年。

・林洋子編『芸術教養シリーズ8 近現代の芸術史 造形篇Ⅱ』藝術学舎、2013年。